オーディオマニアが唸る高級イヤホンを手掛けるfinalブランドから発売された完全ワイヤレスイヤホン「final ZE8000」が手に入ったのでレビューしていきます。
finalは音質に振り切ったイヤホン作りに定評があり、これまで僕も何種類も試してきました。そのどれもが価格に不釣り合いなほど高音質。しかも、トレンドを追いかけず、着色した音ではなく、楽曲本体の音を表現しようとする生っぽさに感心させられます、毎回。
そして、今作「ZE8000」はその最上級だと言えるくらいの音質。
音のテクスチャーに癖がなく、楽器や声の収録音源をそのまま表現したようなフラットで聴き心地の良いサウンドを実現しています。
それ故に今までのイヤホンでは聴こえなかった微細な音が耳に入るようになり、新たな発見もあったり。電子的な音作りというより、ドライバーから原音忠実に発したナチュラルな音が鼓膜に届きます。
ある意味新感覚の人間味を感じる生っぽい音の仕上がりに驚かされましたね。さっそく詳しい性能をレビューしていきます。
製品仕様はこちら。
- 製品名:final ZE8000
- JANコード:4571303222698、4571303222681
- 型番:FI-ZE8DPLTWWH、FI-ZE8DPLTWBK
- カラー:ホワイト、ブラック
- ブランド:final(ファイナル)
- メーカー:株式会社final(神奈川県川崎市幸区)
- Bluetooth:5.2
- コーデック:SBC、AAC、aptX、aptX Adaptive
- ドライバー口径:13mm
- 再生時間:イヤホンのみ最長5時間、ケース込み最長15時間
- 充電時間:イヤホン約1.5時間、充電ケース約2時間
- 急速充電:対応(5分間で45分間再生)
- ノイズキャンセリング機能:対応
- 外音取り込み機能:対応
- 防水等級:IPX4
- 操作:タッチセンサー
- 専用アプリ:final CONNECT
- 同梱物:「final ZE8000」本体、ZE8000専用イヤーピース(SS・S・M・L・LLの5サイズ)、USB-C充電ケーブル、アコースティック治具・ダストフィルター、説明書 (※充電ケースの充電には付属ケーブル以外は使用しないことを推奨。)
高級感のある外観コーティング
finalの完全ワイヤレスイヤホンは、歴代外観のコーティングにこだわりがあり、粉雪塗装やシボ加工によって差別化を図っています。
今作はシボ加工により、高級感のある見た目に仕上げています。チョイスしたのはホワイトカラー。
指先に伝わる立体的な凹凸が肌に馴染みます。
しかし、ケースが大きい…。というか大き過ぎます。笑
持ち運びには躊躇するくらい、最近の小型化とは逆行するような大きめサイズになっています。もしかすると頻繁に携帯することを前提にしていないのかもしれませんね。
※カスタムイヤーピースを装着してもケースに収まるよう、あえてケースを大きくしているそうです。(2022年12月26日追記)
ケースは持ってみると軽くて、正直・・え、なんかチープ?と個人的には思ってしまいました。軽いのは良いことなんですけど、高級感のある見た目と重量の軽さにアンバランスさがあって、違和感を感じるというかなんというか。。。
外観のデザインは高級感を感じる佇まいなのですが、持った感じは安っぽい印象を受けましたね。(本音レビューなのでご容赦ください。苦笑)
さて、イヤホン自体は、ステムの長いうどん型。伸びるステムは角張ったディテールになっていて、かなり珍しいですよね。
一見、ヘッドセットのようにも見える独特な質感と形状のバランスが唯一無二感を演出しています。
イヤホンの連続再生時間は最大5時間、ケース込みで最大15時間再生。え、これだけケースが大きくて15時間・・正直少ないかなと。
イヤホン単体での連続再生で長いものだと15時間くらい再生できる完全ワイヤレスイヤホンもあるくらいなので、ケースの大きさからすれば、バッテリーをもう少し積んでほしいかなと思いました。残念。。。
充電にはUSB-Cポートから充電するタイプです。ワイヤレス充電には対応していません。
再生時間の少なさやワイヤレス充電非対応ってところなどを考えると、とにかく音質に振り切って開発されているようなので、コストを音に集中投資しているんでしょうね。
独特のイヤーピース、装着具合は人それぞれかな。
イヤーピースは、かなりユニークな形状。
上に階層のあるウェディングケーキみたいに、コブが2つあって、その上にイヤピが乗っかっている独特の形をしています。
2コブ目が耳介に触れるんですけど、人によっては耳に負担を感じるかもしれないなと。
僕の場合は問題なくスッと収まりましたが、別のスタッフが装着したときには、異物感を感じたようです。
ちょっと硬いので、耳穴奥に押し込み過ぎると物理的に耳穴周囲が圧迫されてしまいます。長時間装着していると痛くなるかもしれません。
とはいえ、僕のようにフィティングにうまくいけば、快適です。少し隙間があるようなイメージなのでカナル型の耳穴を完璧にふさぐような感覚とはちょっと違います。
環境音をある程度耳にとりこみつつ、音楽が聴けます。遮音性は高くありませんが、閉塞感の感じにくいイヤーピースですね。
ノイズキャンセリング機能にも対応しているんですけど性能はイマイチ。
圧迫感が少ないノイキャンなので過ごしやすいのは良かったんですけど、そもそもの消音性能が低めで、電車に乗車中のうるさい走行音には負けてしまいます。イヤーピース自体も遮音性が低めなので、電車での移動中や街中利用には推奨できないかな。
僕としては屋内での利用をおすすめしますね。
ただ、音量はデフォルトでどれくらいにするかってのがアプリから設定できます。
イヤホンによっては小さすぎたり、大きすぎたりして、自分がちょうどよい音量に調整できなかったりすることありますよね。その対策として、どのくらいの音量を標準とするのかいじれるのはありがたいです。
基本僕の場合は大きめにして使っています。遮音性が高くないのとノイズキャンセリング機能に物足りないので、周囲の音がうるさい場面で音量UPに頼らざるをえないから。
その他、アプリからは、ノイキャン機能と外音取り込み機能の切り替え、外音取り込み機能の「ながら聴きモード」と「ボイススルーモード」の選択、カスタムイコライザーなどをいじれます。
今まで聴こえなかった音が聴こえるように。生っぽいフラットな高音質に大満足。
コーデックはSBC・AAC・aptX・aptX Adaptiveまで対応しています。
完全ワイヤレスイヤホンとしては珍しい、AB級アンプと薄膜高分子積層コンデンサが搭載されています。
そして、超高精度かつ超低歪な13mmドライバー「f-CORE for 8K SOUND」を積んでいるということで、実際聴いてみるとその謳い文句そのものでした。
歪みのない原音に忠実な再現性の高さがはっきり分かります。そのため、メロディに「あれ、こんな音あったっけ?」っていう新しい発見に多々驚かされます。
音の粒立ちはまぁそれなりですが、デジタル的に着色していない分だけ過剰な音圧や癖がなくて、フラットな音色なんだけど音が際立っている印象を受けます。まさに生の音って感じ。
ジャズならピアノの凛とした一音一音が手にとるように感じられ、バンドなら楽器が折り重なる複雑性の中から形成される世界観も感じやすくなりました。
ボーカルのビブラートや生々しいブレスをリアルに感じ取れる解像度の高さはお見事。キーの高い女性の歌い手が耳に刺さりすぎずにスッキリ明瞭に聴けます。
全体的にはフラットな音で全音域でまったくもって嫌味のない印象。
また、13mmの大型ドライバーなのでてっきり迫力で押し切ってくるかと思いきや、上品に抑えながら音の再現度に振り切った大型ドライバーの使い方が上手いなって。
低域はクリアでくっきりしていながら音圧を感じさせない耳に優しいイメージなので、個人的にはEDMを聴いていて今まで体感したことがないような疲れにくさを味わえました。飛び跳ねる系のデジタル音楽が結構おすすめです。
中域から高域にかけてのスッキリした抜け感の表現がキレイなので、アコースティック系からポップスまで楽しめました。総合評価としては、むちゃくちゃ高いです。間違いなく完全ワイヤレスイヤホンでトップクラスのフラットな高音質だと言えます。
Web会議に活用できるマイク性能
この「final ZE8000」は、レビュー最初の方にも触れましたが、屋外利用よりも屋内利用がおすすめです。その理由のもうひとつはマイク性能の高さにあります。
パソコンでのWeb会議にかなり重宝します。ビームフォーミング機能を搭載したマイクが付いていて、周辺ノイズを除去して音声にフォーカスしてくれます。
ガヤガヤしたオフィス内でも的確にイヤホン装着者の声をとらえて通話相手に届けてくれます。
オンライン会議用イヤホンにも使えるのでテレワークで仕事をしているビジネスパーソンにもおすすめできますね。
動画レビューはこちら
ライターから一言
気持ちの良いくらい音質に振り切った音特化型イヤホンでした。圧倒的に飛び抜けたフラットな高音質が他の残念ポイントを打ち消して余りあるくらい。デジタルに着色した音ではなく、楽曲本来の音を楽しめる完全ワイヤレスイヤホンでした。